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「振られたよ」
「ま、だろうな」
「おう」
戸沢君もタバコに火をつけながら短い会話を交わしている。
男の子どうしってこうなのかな、学生時代田中君もそんなに戸沢君と話してるようには見えなかったけど。
「そういう戸沢は浮いた話聞かねぇな」
「うっせ、ほっとけや」
戸沢君、今彼女いないんだ。
中学のころしか知らないけど田中君は小学校から一緒らしい。
もっとも学校に来るほうが珍しいって感じだったらしいけど、中学でもあんまり顔見なかったからホントなのだろう。
髪は短くて釣り目。話し方が少し荒っぽいけど意外と根は優しいっぽい。
何回か田中君と梯子もしてるらしいし、なんだかんだ会えば話すって感じなのかもしれない。
「ん、ちょいトイレ」
田中君が席を外すと戸沢君がたまに話しかけてくる。
「あいつさ。分かりやすいな」
「え?」
「吉沢のこと好きだって目してる」
あぁやっぱ気づくんだ。
話してるから当たり前にちらちら目が会ったり視線を感じるんだけど、その目は私が好きなんだって物語ってるときがたまにある。
主に酔ってるときに。たぶん他の人は気づいてないんじゃないかなって思うけど、私はなぜか分かる。
「傷心に漬け込むなら今じゃね?」
「や、私は別に。田中君の事そうは思ってないけど」
「ふーん・・・」
何なんだいったい。
そんな風に週に1~2回のペースで田中君と飲んだり、そこにたまに戸沢君がまぎれたりして数週間がたったころ。本格的に自覚・・・というか田中君が私のことを好きなんだと思う事があった。
その日もやっぱりまるやで飲んでたとき。私もヤマさんやトモちゃんと割りと話をするようになったころ。私も驚愕のセリフがトモちゃんから飛び出した
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