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「アリサちゃんって結婚とか興味ない?」
「え?何ですか急に」
「やーお店のお客さんがちょっとね。市議さんなんだけど彼女募集中らしくてさ―」
その後もその議員さんの話をトモちゃんがしていたけど、相槌を打ちながら私の意識は田中君に向いていた。
彼の目がすっごく不機嫌で嫉妬に染まった目をしていたから。
日がたつにつれ彼の目が好きに染まる頻度が多くなってきて、最初に会ったときよりすごくやさしい目をするようになった。
私を見るときだけだけど。
これでどうやら本人は隠しきれてると思ってるようで、特に露骨な言葉は言わないけど。
分かりやすっ。
「やめーやんな話」
田中君のその一言でトモちゃんの話はまた別の話題にシフトした。
私たちは基本そんなに話すことも無いから常連さんかトモちゃん、ヤマさんと話すのがメインではあるけど。
露骨にいやな声してたけどトモちゃん、気づいてない・・・?
やっぱり気づくのは私だけなのか・・・あれ?
この時だった、私がなぜここまで田中君のことを気にしているのか、田中君の感情や酔ってるかどうかを分かるようになったのか。それだけ観察してたんだって、気になるから無意識で見ていたんだって。
これが好きってこと・・・なのかなぁ・・・。
少なくともこの時初めて、好きなのかもしれないって思った。
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