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「なんかお互いかわらねぇな」
「そう?まぁ確かに君は変わってないけど」
一言二言はなしながらついた場所はなんてことない居酒屋さんで、カウンターが6席に2人掛けのテーブルが1つ。奥に座敷。4人テーブルが二つかな?
「あ、私そういえばお酒あんまり飲めないんだよね」
「え?そうなの?」
「うん、でも友達とかとたまにいくから少しは飲めるけど。アルコール強いのはダメなの」
「そっか、なんか悪いな」
私の一言で少し申し訳なさそうな顔をしたけど、別にまったく飲めない訳じゃないから大丈夫、っていうと少しは安心したらしい。
そゆとこ気にするんだ。
「そういえば、お互いあんまかわんねぇけど相方とかいないの?」
しばらくコンビニをやめた後とか、ゲームの話とかをしてたけどふいにそんなことを聞いてきた。
「は?いるわけないじゃん。そういう田中君はどうなのよ?」
「俺は・・・まぁ一応・・・」
いるならいいじゃない、てかなんでそんな曖昧で寂しそうな顔するの?
「だったら彼女さんと来なよ、何で私なの?」
「まぁ・・・ちょっと、ね」
話を聞いているとその彼女さんとはSNSで引っ掛けたらしく、住んでる場所が少し遠いらしい。
「なんか、付き合ってる感覚がなくなった・・・」
そういう田中君は暗い表情をしていた。寂しいんだか悲しいんだか、そんな顔。
てかSNSでの出会いってうまくいくことあるの?なんか・・・出会い厨っぽい。
「そういえばさ―――」
なんとなくその話題から変えて、またそんなに多くない会話を続けていた。
「帰り、大丈夫?送ってこうか」
帰り際そういわれたけどそんなに遠くないし、何よりそんなことしてもらう間柄でもないから断った。
彼女もちの人に送ってもらわなくてもいいし。
「そっか、気をつけてな」
この時はもう、かかわることもないんだろうなぁと思っていた。別に寂しいわけでもないし、元々親しいわけでもない。同級生っていっても学校で絡むこともなかったし、むしろ今更話ししてるのがすっごい不思議だし。
それから数日後、またメールの着信を告げる音が鳴った。
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