1.当たり前が当たり前ではなくなるとき

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1.当たり前が当たり前ではなくなるとき

1.   「じゃあ栞、戸締りしっかり頼むわよ!」 ママは忙しなく私に戸締りを託す。  「何かあったらすぐパパに連絡を入れろよ」 パパは娘の心配ばかりし、無言でそれに頷く私。この何気ない当たり前の会話がパパとママとの最後の会話になってしまった。私の人生は、中学1年生のこの2月10日で全てが変わってしまった。  パパとママは車で2時間くらいかかる旅行先まで向かうため、朝早くに家を出た。私は眠い目をこすりながらそれを見送り、寝足りない体をズルズルと引きずり 、自分のベッドへとダイブし、至福の二度寝を満喫するために自分の部屋へ向かった。ベッドへと潜りこみウトウトしていると、スマホの軽快な着信音が鳴った。  「もぉ~誰よこんな朝早くから・・・しかも知らない番号じゃん。」 この着信に出ないつもりでいた。何せ知らない番号だ。どんなロクでもないヤツか分かったものではない。さっきから無視をきめこんでいるのだか、相手も一向にあきらめる気配が無い。仕方なく二度寝をあきらめ、スマホを手に取り目覚めのコーヒーを飲むために1階のリビングに向かいながら出ることにした。
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