3.平和を願う自身は、波乱の波に飲まれるものである

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 西条さんとの通話を切る。…………部屋のドアの向こうに人の気配がするのは気のせいだろうか。 ちょっとばかりイタズラを仕掛けてみるか。  「あ~、姉ちゃんに会いてぇな~。」  ガタッ  ビンゴだ。姉ちゃんがドアの向こうで立ち聞きしてる。俺は更に続ける。  「今日はなんか姉ちゃんと一緒に寝たい気分だ。」  ガタガタッ!  なかなかおもしろいな。  コンコン……  「祐一~!起きてる~?」  姉ちゃんが俺の返事を待たずに部屋に入ってくる。さぁ、尋問の始まりだな。  「姉ちゃん、俺はいま、誰に会いたかったでしょうか?」  「そんなの決まってるじゃん!ワ・タ・シ!」  「俺が電話してた相手って誰だったっけ~忘れちまって。」  「たしか、西条さんだったよね!」  確実だな。俺が電話してる時から立ち聞きしてたな。    「姉ちゃん、立ち聞きは良くないんじゃないか~?」  「えっ!?そそそそんなことしてないよ……!」  「じゃあ、なんで俺が西条さんと電話してたり、姉ちゃんに会いたいっていうのが分かったんだ?」  「そ、それは…………愛のチカラ!!」  「理由になってないぞ。もう少し説得力のある理由はね~のかよ。」  「ぐぅ……だってだって!!祐一が他の女の子と電話してるのが気になったんだもん!!」     
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