3.平和を願う自身は、波乱の波に飲まれるものである

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 はぁ、やっと静かになった。  「さてと、そろそろ勉強を再開するか。」  この一言をきっかけにして、明日の試験に向けて机にかじりついた。  ……自分では集中しているつもりなのかもしれないがうまく集中出来ていない。勉強会で、西条さんが見せた不安そうで、悲しそうな表情と意味深な問いかけ。  ──自分のことを知っているか?──  この一連の表情と問いかけがグルグルと頭の中で回り、思考というフィルターを通してしまうからなのか、さらに考えが煮詰められ熟成されていく。そうすると余計に分からなくなるし、それ以外のことが余計に手につかなくなる。  「そろそろ寝るか……」  勉強することをあきらめ寝ることにした。明日の俺はさぞパニックになるだろうな。そうしたらきっと、明日の俺は昨日(今日)の俺を恨み倒すことだろうな……。  そんなどうでも良いことを考えながら、ベッドに向かい、潜り込んであっという間に意識を手放した。
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