3.平和を願う自身は、波乱の波に飲まれるものである

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 西条さんの背後から、青黒い炎が見えそうなくらいの勢いで俺に食いつく。さっさと謝ってしまわねば、俺達もろともどんな暗黒世界に引きずり込まれるやも分からない。  「昨日は大変申し訳ありませ……」  「あっ!やっほー!文香ちゃん!祐一の姉の美佳で~す!」  謝ろうとしたとき、姉ちゃんが家から出てきた。そう言えば姉ちゃんは今日は試験だから皆と一緒の登校時間なんだった。  「祐一さんのお姉様?」  「わぁ~!うれしい!『お姉様』なんて!」  「そんなことより、私に何か御用でしょうか?今は大変取り込んでおりますが……。」  「あ~、そのことなんだけどね、祐一は昨日、私とずっとオトナのお勉強をしてたの。だ・か・ら、文香ちゃんの電話には出る余裕は無いってこと!」  えっ!?俺も初耳だぞ!?なんだよその大人の勉強って!!てか西条さん、真っ赤になりながら、フルフル震えてるし!!  「祐一さん。お邪魔してしまい、申し訳ありませんでした。そのような淫らな方だとは思いませんでしたわ。それでは失礼します!!!!」  西条さんは、勢いよく車に乗り込み行ってしまった。  「姉ちゃん!何でだよ!姉ちゃんとそんな勉強した覚えはねーぞ!」  「お姉ちゃんもそんな覚えは無いけど?」  「じゃあ何であんな意味分からんこと言ったの!?」     
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