4.そして彼女は裏切りに満ちた世界に光を見いだす

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 ───ゴーンゴーンゴーン───  「……!!」  本日、最終科目の試験終了を知らせる鐘に俺は飛び起きた。さっさと試験の問題を解いて(空欄が多いけどな。)机に突っ伏して夢の世界へ旅に出たんだった。なにせ、試験が難しすぎる。問題用紙を見た瞬間に頭の中が真っ白になったのは初めてだ。結局の所、1問1問ゆっくり読んで、自分なりに、昨日西条さんに教わったことを思い出しながら解いていく以外に方法がなかった。教わっていないものや、応用的な問題は全てデタラメに解いたと言っても過言では無い。デタラメでも書けない部分は空欄のままだ。    「さっさと家に帰って、姉ちゃんに話でも聞いてみるか……。」  試験後の簡単なHRを済ませ、さっさと帰り支度を始める。普通は試験後は友達と答え合わせをしたり、自分の回答と友達の回答を見比べて一喜一憂するのだが、あいにく俺にはそんな仲間はいない。何せ、入学式に西条さんのとんでもない新入生代表の挨拶で、全ての男女を敵に回したようなもんだからな。あ、誤解するなよ?イジメとかじゃないからな?ただ単に、西条さんに名前を覚えてもらえていたという事実に、みな嫉妬の念を抱いているだけだ……と思う。     
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