3.平和を願う自身は、波乱の波に飲まれるものである

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3.平和を願う自身は、波乱の波に飲まれるものである

 入学式。それは誰しもが新たな生活に心躍らせ、その反面待ち受けている学校生活に不安を抱く時であることもまた、このイベントの特徴であろう。そんな感情の起伏が多く発生するこのイベントで、俺はなぜ新入生全員からの刺すような視線を浴びているのか……。それはほんの10分ほど前に、ある人物の新入生代表の言葉が全ての要因である。    「桜が咲き誇る今日の良き日に私達は、ここ、西ノ森学園に入学できた喜びを(中略)今朝の登校時間に、同学年の早坂祐一さんという方にお会いし、妹様と共にご一緒させて頂きました。(中略)私は、このような紳士的な男性との良き出会いが、学園生活をより良いものにすると確信いたしました。」  西条さん!!俺のことを新入生の前で堂々と、しかも紳士的なんて表現で名指ししやがった!!新入生の男子全員からは、殺意のこもった視線、女子全員からは軽蔑するような視線をそれぞれ浴びている。朝の段階で、平和な学園生活を望んだが、どうやらそれは永遠に叶うことは無いらしい。そんな俺の状況など知ったことかというように、入学式は粛々と進み、無事?何事もなく終了した。
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