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こうして僕とラズは街に辿り着きました。
沢山の家々が連なる賑わいのある街だが、あまり高い建物はなさそうだ。
少し離れた丘の上に、4階建ての建物が見えるが、ここの町一番のお金持ちとか貴族とかそういったものだろう。
「ふう、ようやく着いたよ」
僕はそう、つい呟いてしまった。
ようやくやって来た町を見てそう言ってしまったのには理由がある。
ここまで来るのに、延々と森と空と土の道が続き、この道でよかったんだろうかと不安に思っていた所で街が見えてきたのだ。
お腹もすいてきたので途中、ラズと一緒にポテトチップス(のり塩)を食べながら移動し、湧水が出ている所があってそこで水を飲み、といったようにして移動した。
一応は缶入りの飲み物もあったのだけれど、これは保存性がいいので残しておく。
僕の持ってきた食べ物に関しては、ラズが食べても大丈夫かと思ったのだけれど、
「……大丈夫かどうか?」
「うん、この世界の人が異世界の物を食べても大丈夫かどうか、僕には分からないからどうしようかなって。調べられればいいんだけれどね」
「……触らせてもらっていいか?」
「うん、いい……え?」
そこで、ラズが僕のポテトチップス(のり塩)に触れると、ひゅんと小さな音が出てまるで僕の世界のゲームに出てくるような画面が!
これはひょっとして、
「“鑑定スキル”って言われているものかな?」
「……多分、それであっているはず」
「でも異世界のものでも分かるんだ。あ、中にある物質を分析しているのかな?」
「……そういった感じではあったと思う」
との事だった。
この世界の“鑑定スキル”は僕が思っているより万能であるらしい。
そう言った話をしながらなんとか町に着いた僕達は早速質屋に向かう。
ラズが言うには、大通りに面した店よりも路地に入った店の方が高く買い取ってくれるのだそうだ。
「友人の受け売りだが」
「そうなんだ、よし、行ってみよう。でも友人は覚えていたんだね」
「……俺のそれを教えてくれた友人は、誰だった?」
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