異世界に飛ばされた僕の前に、何かが降ってきました

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 鳥の鳴き声に僕、石躍理人( いしおどり りと)は目を覚ました。  目の前にはラズが穏やかに寝息を立てている。  僕よりも背の高いイケメンである彼は未だ心地よさそうに眠っている。  こうやって眠っていると同性とはいえ一瞬だが目を奪われてしまう、と僕は思ってから、 「いやいや、僕は女の子の方が好きだから」  そう呟いてから僕は彼を揺さぶる。   「ラズ、起きて。そろそろギルドに行かないとというか、僕、ギルドカードを作らないといけないんだよ」 「う、うん……リト……」  小さくラズは呟いてそこで、むくりと起きようとしたかと思うと僕に抱きついた。 「ラ、ラズ、寝ぼけないで起きようよ」 「う……ん……リトの、いい匂いがする……くう」 「ぼ、僕は男だからそんな匂いはしません! というか起きてぇえええ」 「う……ん……」  僕がじたばたしながら必死にラズから逃げようとするとそのまま抱き枕のように再びベッドの中に引きずり込まれてしまった。  しかも逃がすかというかのように抱きしめられて、僕はもうラズから逃げられない。  今日は朝からギルドに向かってギルドカードを僕たち二人で作ろうと思ったのに! 「リト……」  そう、甘くねだるようにラズに言われて抱きしめられて、やっぱりベッドは別にしよう、宿代節約するよりこの状況の方が、駄目な気がすると思ったのだった。  まず、どうしてこのような状況になったのかについて、話そうと思う。  その日はいつものようにお菓子やらなにやら他にも、 「演劇の衣装を作るから、安い布を買ってきてって言われたんだよね。丁度セール中だったけれど、姉さん人使いが荒いよ。ビーズやボタンなんかも買ってくることになったし。……格安詰め合わせセットという在庫処分のような袋を買っちゃったけれどさ」
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