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僕はつい聞き返してしまったけれど、特にラズに変わった様子がない。
代わりに僕の服に触れてくる。
青色のパーカーを今はきていたけれど、その胸の部分に服の上からラズは手を滑らせて、
「んんっ」
「……“鑑定スキル”」
ぽつりとラズが呟くと、そこにはゲームのような画面が現れる。
そして様々な情報と共に、そこに書かれた魔法的な効果はというと、
「“祝福の世界”全属性の害する影響を、ほぼ全て無効化する。また、物理攻撃、魔法攻撃の威力も軽減する……なにこれ」
「伝説の属性みたいだな。次は中に着ている服を見てみよう」
「え、え? ちょ、やぁっ」
そこでもぞりとパーカーの中に手を入れられて、ラズの指が服の上からふれる。
何だか変に感じてしまう、そう僕は思いながら、そこでラズが、
「“反射の吐息”、全ての攻撃を跳ね返す、伝説級の属性だな」
「あの、これ、安売りで買った服なのですが」
「折角だから更に中の方まで見てみるか?」
そう言われた僕だけれど、逃げないようにラズに腰を捕まれた状態で更に……というのは避けたかったので、
「こ、これくらいでいいよ。でも、こんな普通の服なのに凄い事になっているなんて、異世界は不思議だね」
「そうだな、俺も不思議だ」
「あ、あとはそうだ、硬貨(コイン)はどんな効果だったんだろう?」
あの時売ったのは、100円玉だった。
異世界という異常事態なので売ってしまったが、あれにはどんな効果があったんだろう?
そう思ってラズに聞くと、少しラズが黙ってから、
「“炎の鎮魂歌”、炎の最上級の攻撃魔法の効果が付随していた」
と、僕の顔から血の気が引くようなことを僕に告げたのだった。
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