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硬貨(コイン)についた魔法をコピーして使う。
予想していたのとは違ったコピー能力の使い方の提案に僕は目を瞬かせた。
「……そんなことが出来るんだ」
「いや、俺も思いついただけだから。後で試してみて、使えそうなら使ってみるのがいいと思う。俺も……魔法が使えるし」
「! ラズ、魔法が使えるんだ! もしかして今思い出した?」
「今の会話で幾つか思い出した」
「もしや、もともと魔法が使えたり?」
「リトに出会う前に襲われたりしたからその時に幾つか思い出したかな」
そう答えるラズが苦笑しているのを見つつ、それは危機的状況になったら“覚醒”するどこぞのヒーローのようだなと僕は思った。
けれどなんにせよ今の会話などでラズの記憶が少しずつ戻っているのは良い事だと思う。
そう思いながらも僕は、
「魔法、コピーで使えるならすぐに使えて便利だけれど、これ、最上級魔法だよね」
100円玉という、缶ジュース一個を買うのにちょうどいい硬貨(コイン)を見ながら、こんな日常で使っているものが……という気がしないでもない。
やはり異世界だと、僕の認識の外にあるのかもしれない。
そう僕が考えているとラズが、
「でも最上級魔法といっても、魔力を少なくすればそれよりも弱い魔法になったりすると思う。上級の魔法とはいえ、魔力の量には依存すると思うから」
「少なすぎると発動しなかったりって事は無いのかな?」
「それは魔法を起動させるための魔力があればいいと思う。その魔法が発動する前段階のような物かな? それが光の魔法陣として現れることが多い」
「この世界の魔法は初めに、魔法を使うための装置みたいのを組み立てる感じなのかな?」
「うん、だからそれが構築されてから魔力を通すとそれが発動する形だから……」
「魔法のその装置となる部分をコピーして作り上げて魔力の量は調節……そうすれば威力は抑えられるかもしれないんだ」
ラズの説明を聞きながら、それならそこまで威力が高くないけれど、僕も魔法で戦えるかもと気づく。
つまり、魔法使いデビュー!
いいなそれ、そう僕が思っているとそこでラズが、
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