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「なあ、マイケル。本当にやるのか?」
「もちろんだ。これ以上こんなところにいたくないしな。それはお前だって一緒だろ?」
「まあ、そうなんだが。絶対捕まって終わると思うぞ?」
「無駄口叩く暇あったら、ちゃんと見張っとけ」
「へいへい」
ため息をつきながら、俺は前に向き直る。
俺の前には1人の男が椅子に座って居眠りをしていた。
俺とその男を隔てるのは錆びれた鉄格子。
見ての通り、ここは刑務所なのだが、捕まっている俺はなぜ自分がここに入っているのか全く見当がつかない。
そんでもって、俺の後ろでせっせと床を掘っているのが相部屋のマイケル。34歳。コイツは確か、窃盗罪で捕まっているらしい。もちろんこの通り反省の色はゼロなんだが。
最初のうちは俺もこの脱獄計画に積極的だったが、最近は飽きてきた。ベッドの下のタイルが外せることに気が付いたのは先週の話。そこから、毎日ベッドをどけては掘りの繰り返しだ。
ザッザッ。
通路に歩く音が響き始めた。
「はあ……。そろそろ見回り来るぞ」
「もうそんな時間か」
俺の合図を聞いて、マイケルは急いで穴から出てきた。ベッドを2人で元あった場所に戻して、俺たちは何食わぬ顔で今日も見回りをやり過ごす、はずだった。
「あ、どーもー」
「あん?」
そこに現れたのは、いつもの見慣れた見回りではなく、なにやらフリフリついたゴスロリ調の服を着た女看守。
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