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時刻は1時まであと5分と迫った。
するとどこからともなく人がわいて出てきて、店内をあっという間に埋め尽くした。
そして深夜1時、噂のチケットの販売が開始された。
通常のレジとは別、ストックルームに続くであろう扉に人々は入っていった。
よく見てみると、生気を失ったような表情の人が多く見受けられる。ハンカチを目元にあてて、ずっと泣いている人もいた。
私たちくらいの若い子で、生き生きとしている人もいたが、数える程度しかいなかった。
泣きながら奥に入っていく人は、出てくると泣き止んでいることが多い気がする。心なしか希望の光を見つけたようなそんな表情に感じた。
逆に生き生きとしている人は出てくるとしょんぼりしていたり、中には怒っている人もいた。
その光景を見て、私も急いで並ばないとと思い周りを見回したが、長蛇の列は店内に収まりきらず、目の前の公園の中で蛇行していた。
最後尾を見つけ並んだ。
しかし、その日は私の順番のはるか前の段階で、チケットを売る時間が終わってしまったようだ。
チケットの販売が終わると、集まっていた人々は諦めて何処かへと消えていった。
そのあとは再び静けさを取り戻し、数時間前のコンビニの店内に戻っていった。
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