会いたい

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「実は俺もそのチケットを買ったことがある。」 彼から驚きの告白だ。 「えっ?」 「俺が幼いときに病気で死んだ母ちゃんに会いたくて…噂を耳にした小学生の時。 その時老人に言われたよ。君みたいな若い子にとって代償は大きいってね。 でも当時の俺には何の事だかさっぱりわからなかった。 わかったのは自分が死んでからかな…」 彼の目には涙が浮かんでいた。 「だから真実には俺と同じ思いをしてほしくないんだ。お前が早くに死んだら周りのみんなはとても寂しがるだろ? 現に俺が早くに死んでしまってお前を悲しませているように。 だからお前には長く生きて欲しい。 またこっちの世界に来たら沢山デートしような。」 彼が優しくそう言うと私に口づけを交わした。 そのまま私の体に溶け込むように、彼はいなくなっていった。 気がつくと私は机の上で眠っていた。
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