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ラーメン屋
食券を買って、カウンター席に隣同士で座る。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
二人の間に沈黙の時間が流れる。
(き、気まずい。なんか、喋らないと。)
「あ、朝はありがとう。助けてくれて」
「うん。」
「隆幸、くんはいつもお昼はここなの?」
「いや、抜け出していろんなとこ食べ歩いてるんだよ」
ハハと隆幸は笑った。
「一年一組は、今度の学園祭は何のお店をするの?」
真紀子は一生懸命話題を探す。
「知らない。俺、学園祭は出ないから。」
「えぇ!?なんで?楽しいよ!」
「いや、苦手なんだよ」
「そう、なんだ」
「予定もあるし」
「予定ってボクシングの練習?」
真紀子の問いかけに、隆幸は目を丸くして驚いた。
「え?何で俺がボクシングをやってるって知ってるの?俺、誰にも話していないけど」
「あぁ、なんとなく?」
彼方のことは知ってるよ、というちょっとした優越感を感じながら、
「ねぇ、今日一緒に帰ろう」
唐突に誘うと、隆幸は戸惑っていた。
「てか、あの、なんで俺?」
(未来の旦那様だからだよ)
とも言えず、適当にごまかしながらラーメンを食べ終わって、授業に遅れないように急いで学校に戻った。戻ってから、先ほどの行動を思い出し、顔が熱くなる。自分自身の積極性に驚き、恥ずかしさで身もだえしていた。私ってそんなキャラだったっけ?全てはあの、10年後の未来を見たせいだと思った、
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