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帰り道
「あの、名前はなんていうの?」
学校からの帰り道、半ば強引に隆幸の帰り道にくっついていく形で一緒に帰る。真紀子の家とは正反対の方向だったのだが。
「真紀子。山本真紀子、三年生だよ」
「え!?三年!?先輩じゃん。一年だと思ってた。タメ口ですみません」
驚く隆幸の仕草がとても可愛く思えた。
「いいよ、いいよ。タメ口で~」
「真紀子先輩はなんで俺がボクシングをしてるって知ってたの?」
「10年後に結婚するからだよ」
「は?」
(しまった)
つい、隆幸と会えて話していることが嬉しくてポロッと喋ってしまった。これじゃあ、完全に変な人?ストーカー?
「なんか、真紀子先輩、おかしい人ですね。」
と言いながら笑う隆幸を見ながら、真紀子の胸に愛しく思う気持ちが急激に大きくなっていくのを感じた。
(触れたい・・・)
その手に触れたい気持ちを必死でこらえながら、ある程度のところまで一緒に歩いて隆幸と別れた。
家では、隆幸のことが頭から離れない。会いたい気持ちが抑えきれずに胸が高鳴る。なんでこんなことになった?と考えると、昨日の一日にある。では、今日眠りについたら明日どうなっているのだろうか。
未来だろうと、現代だろうと、隆幸と会える。真紀子の青春はこれから始まる。
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