どうしたわたし

4/6
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
「あっ…」 咄嗟に目が合う。 時間が止まった。 気がした。 つかつかと近付いてきた。 「なにしとんねん、離れろや」 「あっ、ごめんなさい」 暉さんに向かって謝るわたし。 「いいえ、女性を庇うのは男性の仕事ですから」 「け、寒イボ出るわ」 ふん、と面白くなさそうに。 「あの」 奴に向かって暉さんがきつい口調で。 「あん?」 「あなたは、彼女の何ですか?」 「いや、……なにて、…言われたら、別に」 「わたしこの人苦手なんです」 ついに口にしてしまった。 「いや、苦手、って」 何となくもどかしそうに、縛ったタオルを外してわしわしと髪を掻く。 「はっきり言わんでええやんけ。なんか傷つくわ」 「そういうことなら、あまり彼女に関わらないでいただけませんか」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!