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「あっ…」
咄嗟に目が合う。
時間が止まった。
気がした。
つかつかと近付いてきた。
「なにしとんねん、離れろや」
「あっ、ごめんなさい」
暉さんに向かって謝るわたし。
「いいえ、女性を庇うのは男性の仕事ですから」
「け、寒イボ出るわ」
ふん、と面白くなさそうに。
「あの」
奴に向かって暉さんがきつい口調で。
「あん?」
「あなたは、彼女の何ですか?」
「いや、……なにて、…言われたら、別に」
「わたしこの人苦手なんです」
ついに口にしてしまった。
「いや、苦手、って」
何となくもどかしそうに、縛ったタオルを外してわしわしと髪を掻く。
「はっきり言わんでええやんけ。なんか傷つくわ」
「そういうことなら、あまり彼女に関わらないでいただけませんか」
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