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「かぐらさん?!」
異変に気づいた爽さんが動き、事務所から出ていた店長が戻って通報しようとした。
「来ちゃダメ!!」
「動くな!!」
思ったよりドスの利いた声に、店内が水を打ったように静まり返り、誰もが固まった。
震える手でレジを開けると、万札をガサガサッとかき集め、くしゃくしゃのまま差し出した。
札を奪いに来た刃先が、ふっ、と手に触れる。
「…つっ……」
「この……」
爽さんが、立て掛けてあった箒をかざし掛けた。けれどやはり刃先を向けられ威嚇されて固まった。
「爽っ!!」
ちょうど入ってきた暉さんが動揺して身構える。
「来るな!!!クソッ!!」
咄嗟に腕を掴まれ、レジから引っ張り出されたわたし。
「近付いたら刺すぞ!!」
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