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「やっと二人きりになれたな」
救急車の中。
応急処置を施され、病院で治療をされるための道中。
「はっ?いやいや」
傍らで腰掛ける救急隊員の方も苦笑いして、聞こえない振りをするのに運転席に話し掛ける。
一刻を争う事態ではないな、と。
「うーん。あれやな。うん。自分鈍そうやからはっきり言うわ。嫁になれへんか」
カチンと来たわたしは、
「あなたも鈍そうなのではっきりいいます。困ります。いえ、無理です嫌ですお断りします」
「早いな!ちょっとは嘘でも悩んでくれへんかな」
むう、とふて腐れるわたし。
「だって」
「な、お願い。とりあえず一回デートして?」
「もう少しムードというものを…」
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