王子あらわる?

2/8
前へ
/39ページ
次へ
季節は少しずつ秋に向かい始めた頃。 表の掃き掃除をしていると、少し肌寒いくらいだった。 ある日の昼過ぎ。 休憩に入ろうとしたとき。店長である山科さんから唐突に切り出された。 「そうだ神楽坂さん。この前面接して受かった子、今日から来るから。僕は急用で出なきゃいけないけど」 小肥りの山科さんは季節は関係ないようで、額に常に汗が滲んでいた。 本人いわく、ストレス太りらしい。コンビニの店長も地味に大変だ。 「はい?!面接なんていつしたんですか?」 「あれっ?ごめん、言ってなかったっけ」 「店長、その日、カグさんお休みでしたよ」 口を挟んだのは同じくバイトの佐久田真津子(サクタマツコ)さんだ。 「私の替わり。来月辞めるの。東京に行くことになって」 「はあ?!」
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加