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季節は少しずつ秋に向かい始めた頃。
表の掃き掃除をしていると、少し肌寒いくらいだった。
ある日の昼過ぎ。
休憩に入ろうとしたとき。店長である山科さんから唐突に切り出された。
「そうだ神楽坂さん。この前面接して受かった子、今日から来るから。僕は急用で出なきゃいけないけど」
小肥りの山科さんは季節は関係ないようで、額に常に汗が滲んでいた。
本人いわく、ストレス太りらしい。コンビニの店長も地味に大変だ。
「はい?!面接なんていつしたんですか?」
「あれっ?ごめん、言ってなかったっけ」
「店長、その日、カグさんお休みでしたよ」
口を挟んだのは同じくバイトの佐久田真津子(サクタマツコ)さんだ。
「私の替わり。来月辞めるの。東京に行くことになって」
「はあ?!」
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