第一章 九官鳥の場合

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「でも」  納得していないかのように、さらに言葉を重ねようとする慎吾を、 「……だけど、何かあったら助けてくれるでしょう?」  硯さんが愛情のこもった声で遮った。  慎吾がちょっと驚いたような顔をして、 「もちろん、いつでもウェルカムだよ」  おどけて手を広げる。硯さんが笑った。嬉しそうに。 「なんだったら今からでもうちで……」 「まだ、仕事あるから」  慎吾の言葉を硯さんはあっさり却下して、 「でも……今日、泊まりに行ってもいい?」 「もちろん」  笑う硯さんの顔は、少しだけ血色が戻ってきているようだった。  ここだけ見ると、比較的いつもの二人だ。  しかし、何で警察署でいちゃついているんだ、このカップルは。
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