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「あの子もこんなこと、するのね」
「可愛いんだろう、幼妻が……」
両親の言葉は、私を苦しめる。
「ほんと、あなたがお嫁に来てくれてよかったわ。あの子絶対結婚なんてしないと思ってたもの」
「そうだな」
二人に聞いてみたい。真実を知っている気がした。
しかし、そんなことをしたなら、もう彼の妻でいられなくなるかもしれない。
「次は孫だな」
「そうねぇ、楽しみだわ」
その言葉に、私は固まった。
孫なんて、私たちの間にできるわけがない。
「葉月さん在学中でも私たちは、かまわないわよ」
「え?」
義母の愉しげな視線が向けられた。
「若い方が楽よ出産は……」
どうしたらいいのだろう……
「すみませんお義母様、お義父様。あの、私、お手洗いにいってきます」
逃げるしかないと思った。
「えぇ、場所はわかる?」
「大丈夫です。すみません」
義母の声を遮って、私は駆け出した。
失礼な行いだけど、無理だった。
もう、二人と話すのもきつかった。
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