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「おい……!」
「え、あっ……」
「お前聞いてるのか?俺と風呂に入るかって聞いてるんだぞ」
俺と風呂に入るか……
ようやく頭の中に入ってきたその、情報を処理し始める。
「……え、それは……」
共に入るなんてできるはずがない。
「やっと伝わったようだな。ったく、ほら出ろよ」
呆れたように言われるも、瞳はいつもより冷たく感じない。
「あっはい……!」
慌てて立ち上がった私は浴室を出た。
そしてそこから離れると、脳が正常に回り始める。思わず、その場に座り込んでしまった。
「……すごい事言われた……」
一緒に入るかなんて、彼がそんなことを言うなんて考えもしなかった。
「どうしよう、私……」
今になって受け留めてくれた彼の腕の温かさと、大きさを、思い出す。
心臓が苦しい……
私は彼が出てくるまでに、落ち着かせようと胸を押さえた。
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