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その翌日は、セットしていた目覚まし時計の音で目を覚ました。
そっと自分の部屋のドアを開け、キッチンに立った。
この家では、初めて作る朝食である。
彼の好きなトマトを卵と炒め、鮭を焼き味噌汁を作った。
しかし、浮かれていた私はほうれん草のお浸しに、納豆の和え物を準備する。
さらにフルーツを洗い、冷蔵庫に冷やした。
まるで夕飯のような品数だと、苦笑してしまう。
すべてを作り終えたとき、共哉さんの部屋のドアが開き、彼が出てきた。
「おはようございます。共哉さん……」
共哉さんは「おはよう」と、言った。
「朝御飯作ったんです。食べられませんか?」
彼はダイニングテーブルの上に並ぶ朝食を見て、目を大きくした。
「こんなに作ったのか……?」
「はい。初めて共哉さんに朝御飯を作ったことで、力が入りすぎてしまって……」
私は正直に話してしまう。
「そうか」
呆れられただろうか。
朝は少食かもしれないのに、どうしよう……
今さら、不安が落ちてくる。
「顔洗ってくるから。それから食べる」
「あっはい……」
私は安堵し、彼を待った。
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