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洗濯機が終わりの音を鳴らしたのは、私がキッチンを片付け終わってすぐだった。
洗濯機の扉を開け、洗濯物を取り出した。
私の服と彼の服をかごに少しずつ入れていくと、思わぬものを手にしてしまった。
「こ、これ……」
それは彼の下着だった。
共に暮らしてるのだから下着が出てくるのは当たり前のことである。
しかし、私は慣れていない。
なるべく見ないようにして、そっとかごに入れた。
急にドキドキしてきた胸を押さえ、残りのものを入れた。
「終わったのか?俺も干すよ」
共哉さんは洗濯かごを持ち上げた。
「ありがとうございます」
わざわざ来てくれた共哉さんの優しさに触れ、胸の鼓動が早くなる。
ベランダに続く窓を開けると、朝日が差し込んで気持ちがいい。
今日の天気予報は晴れだった。
空気も綺麗だと言っていたため、外で平気だろう。
「使い方わかるか?」
共哉さんは手にハンガーを持ち、真面目な顔で言った。
さすがにわかると、私は首を縦に振った。
もしかすると、変な顔をしていたのかもしれない。
「だよな、悪い」
彼は可笑しそうに、口角を上げた。
私はどんな顔していいかわからず、唇を尖らせる。
すると、頭に彼の手が乗った。
「悪かった、しょげるな」
「……はい」
共哉さんの優しい声が耳に届く。
こんなことをされてしまうと、ますますどんな顔をしていいかわからない。
私の小さな声は外の騒音に消えた。
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