歳の差と距離

15/19
前へ
/38ページ
次へ
私が見る限り、共哉さんが洗濯物を干すことはない。しかし、彼ら私より早いペースで干していくのだ。 どうしてだろう…… 私は早く追いつこうと焦る。 しかし、かごの中に手を伸ばしたとき、彼の下着が顔を出したのだ。 「共哉さん……!」 彼は、手を止めて、「どうした?」と、言った。 共哉さんの瞳が私を捉える。 「あの、お洗濯物……なんですが、私のものは私が干していいですか?」 いきなり決めた私のルールを、彼は不思議に思っただろうか。 すると、共哉さんはかごの中に目を向けた。 その表情は緩んでいる。 「あぁ、いいぞ」 きっと、気づかれた。 下着ごときでおどおどする私を、彼は子供に思っているような気がする。 「じゃあこれは俺だな」 しかし、彼はわかっているはずなのに、私の前で下着を手に取った。 私は何も言えなくなる。 すると、彼は笑って言った。 「またからかってしまったな、お前があんまり初々しいからつい……」 彼の空いたほうの手が、私の頭に乗る。 「悪かった」 「共哉さん……」 謝ってくれたが、悪いとは思ってなさそうな顔に、どうしていいかわからない。 きっとこの余裕は歳の差からくるのだろう。 子供扱いされてることに気がつき、少し落ち込む。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加