352人が本棚に入れています
本棚に追加
私が見る限り、共哉さんが洗濯物を干すことはない。しかし、彼ら私より早いペースで干していくのだ。
どうしてだろう……
私は早く追いつこうと焦る。
しかし、かごの中に手を伸ばしたとき、彼の下着が顔を出したのだ。
「共哉さん……!」
彼は、手を止めて、「どうした?」と、言った。
共哉さんの瞳が私を捉える。
「あの、お洗濯物……なんですが、私のものは私が干していいですか?」
いきなり決めた私のルールを、彼は不思議に思っただろうか。
すると、共哉さんはかごの中に目を向けた。
その表情は緩んでいる。
「あぁ、いいぞ」
きっと、気づかれた。
下着ごときでおどおどする私を、彼は子供に思っているような気がする。
「じゃあこれは俺だな」
しかし、彼はわかっているはずなのに、私の前で下着を手に取った。
私は何も言えなくなる。
すると、彼は笑って言った。
「またからかってしまったな、お前があんまり初々しいからつい……」
彼の空いたほうの手が、私の頭に乗る。
「悪かった」
「共哉さん……」
謝ってくれたが、悪いとは思ってなさそうな顔に、どうしていいかわからない。
きっとこの余裕は歳の差からくるのだろう。
子供扱いされてることに気がつき、少し落ち込む。
最初のコメントを投稿しよう!