352人が本棚に入れています
本棚に追加
コースの料理はどれも美味しくて、すべて食べ終えれると、満腹になった。
「美味しかったです、お腹いっぱいです」
「そうか……」
しかし、彼はすっきりしない表情を見せた。
「とも、やさん……?」
「なんだ」
すると、そのとき「失礼します。デザートお持ちしました」と、店の人が部屋に入ってきた。
それからすぐ、目の前に皿が置かれる。
「ショートケーキ…」
それは和食に似合わぬ、ショートケーキだった。
「そうです。こちらは豆乳を使っております」
スタッフが答えるが、見た目は普通の生クリームの色と同じだ。
「美味しそう……」
まさかこんな場所でケーキを食べられるなんて思わなかった。
気分が単純にも、明るくなる。
彼は「食べられるか?」と、心配そうに私を見つめた。
「はい、ショートケーキ嬉しいです」
嬉しさが顔に出てしまう。笑顔になると、共哉さんは、口の端を僅かに上げた。
最初のコメントを投稿しよう!