キスの理由

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二度目のキス…… それは一度目同様、驚く間もなく突然で、一度目同様理解できていないままだ。 彼がしたかったからって…… どういう意味なのだろう。 唇が離れると彼のアップの顔がある。 「これが初めてだ、いいか?」 一度目は無かったことにということだろうか。 「えっと……」 「な?」 「は、い……」 しばらく見つめ合うと、彼が視線を逸らして車を降りた。 窓の外の彼を目で追うと、お金を払っていた。 少し停めただけなのに申し訳ない。 しかし、戻った彼はキスのことは無かったかのような表情をする。 だから私も気持ちを入れ換えるよう、努めなければと小さく息をついた。 「すみません、駐車代をかけてしまって」 「そんなの別にいい、買い物行くぞ」 「はい」 結局キスの理由はわからないまま…… キスとは、互いが想い合ったうえでのものではないのだろうか。 それは、小説や映画の世界だけなのかもしれない。 経験がない私にはわからない。 ただ、かわれていないことだけはわかった。 もう、共哉さんはいつもの顔をみせている。 “私のこと、どう思っているんですか……?” そう聞きたくて聞きたくて仕方がなくて、心の中で何度も尋ねた。
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