361人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
二度目のキス……
それは一度目同様、驚く間もなく突然で、一度目同様理解できていないままだ。
彼がしたかったからって……
どういう意味なのだろう。
唇が離れると彼のアップの顔がある。
「これが初めてだ、いいか?」
一度目は無かったことにということだろうか。
「えっと……」
「な?」
「は、い……」
しばらく見つめ合うと、彼が視線を逸らして車を降りた。
窓の外の彼を目で追うと、お金を払っていた。
少し停めただけなのに申し訳ない。
しかし、戻った彼はキスのことは無かったかのような表情をする。
だから私も気持ちを入れ換えるよう、努めなければと小さく息をついた。
「すみません、駐車代をかけてしまって」
「そんなの別にいい、買い物行くぞ」
「はい」
結局キスの理由はわからないまま……
キスとは、互いが想い合ったうえでのものではないのだろうか。
それは、小説や映画の世界だけなのかもしれない。
経験がない私にはわからない。
ただ、かわれていないことだけはわかった。
もう、共哉さんはいつもの顔をみせている。
“私のこと、どう思っているんですか……?”
そう聞きたくて聞きたくて仕方がなくて、心の中で何度も尋ねた。
最初のコメントを投稿しよう!