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「俺は大体オムライスを食うんだ。お前はどうする?」
木目調のメニュー表を見せられて、私は迷った。
「私も共哉さんと同じもので」
しかし、彼の好みの味を知りたいと考え、同じものにした。
「わかった。美晴が来たら頼むか」
「お願いします」
私は店内を見渡した。
飾られてある小さな雑貨も可愛い。
「私の大学の側に共哉さんのご親戚がいらっしゃったなんて驚きました」
「あぁ、言ってなかったからな。お前も昼に友達と来ればいい」
たしかに、友梨香と来てもいいかもしれないと、頷く。
「はい」
「そうだった、現金も持たせないといけなかったな、夜でいいか?」
「えぇ、もちろんです。ありがとうございます。本当にすみません」
「謝るな、お前は学業に励めばいいんだ」
彼の手が頭に乗ったときだった。共哉さんの携帯が音を立てた。
「悪い、ちょっと外す」
きっと仕事絡みだろう、席を外す彼を私は見つめる。
カッコいい人は後ろ姿もカッコいいのだろうか。
その姿に見とれた。
すると、共哉さんと入れ替わるように、コックコート姿の男性がすぐ側に立つのに気がついた。
きっと美晴さんの話からすると、「いらっしゃいませ、奥様」と、おどけたような言い方で笑いかけた彼は共哉さんの従弟だ。
「は、はじめまして。共哉さんの妻の葉月と申します。彼の従弟さんです……よね?」
「えぇ。はじめまして」
白い歯をにんまりとさせて笑った。彼は共哉さんと全く似てない。それに若かった。
軽い感じにもとらえられる。
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