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共哉さんが私の保護者のように感じてしまう。
「葉月、何か聞きたいことあるか?」
私はすべて彼任せだったが、とにかく頷いた。
フルートのレッスンは火、金、土の三回となった。
予定が入った際は、違う曜日にずらしてもらえるようにもしてくれた。
とても、ありがたい。
「よろしくお願いしますね、葉月さん」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
改めて、山本さんが私に言ったため、私もまた頭を下げた。
あんなに習いたかったフルートだが、気持ちが優れない。
すると、米倉さんが、「今日からはじめる?」と、共哉さんに言った。
今日は土曜だ。
しかし、今の私は教わりたい気分ではなかった。
「今日か……」
共哉さんが私を見たが、目を逸らしてしまった。
私、最悪だ……
「いや、今日は顔合わせだけでいい。今週の火曜から頼みたい」
「了解」
よかった……
ひどく安心した。
もしかすると、彼は何か悟ったのだろうか。
しかし、それにかまえるほど、私は大人ではないみたいだった。
結局、二人はお茶もゆっくりと飲むことのないまま、帰っていった。
「葉月どうしたんだ?」
私と共哉さんだけになってすぐだ。
彼の視線が、私をきつく捉えた。
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