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共哉さんは「葉月、ところでお前今日はどうするんだ?」と、言った。
話が突然に変わったことにたじろぐ。
「え、えっと……今日は特に何もまだ考えていませんでした」
結婚してから、休日はほぼ家で過ごしている。
元々積極的に遊びに出掛けるほうではない。
しかし、彼はどう思うだろう。
「共哉さんは、お出掛けですか?」
「いや、今日は家で過ごそうと思う」
それは私と共にここで過ごすということだ。
「あ、ありがとうございます」
私は嬉しくなって、思わず礼をしてしまった。
すると、彼はおかしそうに表情を緩めた。
「家にいるだけで礼が必要か?」
ちょっと意地悪なトーンに聞こえた。
しかし、私は「はい、だって嬉しくて……」と、やはり正直に答えた。
一人で過ごすとばかり思っていた。
「何が嬉しいんだ?」
呆れたような物言いにムキになってしまう私だ。
「それは共哉さんと一緒に休日を過ごせるからです。一人だとばかり思っていたので、」
「そうか……」
「はい」
私の嬉しさは伝わっただろうか。
共哉さんの呆れ顔が消えた。
「共哉さん、お昼は何が食べたいですか?」
「何でもいい」
彼がいてくれる……
私は嬉しさから、彼に微笑んだ。
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