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近くに見える茶色の瞳は、僅かに揺れて驚いたように大きくなる。
「か、かまわないが……」
「ありがとうございます」
私は了承を得たことに安心した。
それからすぐ、彼が読み終えた新聞を手にした。
それは、英字で書かれたものだ。
高校卒業レベルの英語は理解できるが、それでも難易度が高い。
しかし取ってしまった以上、戻せない。
たどたどしく、私はそれを目で追い読み始めた。
もちろん、容易く翻訳できない。
ゆっくりと、頭の中で変換しながら読むも、わからない単語もあって悩む。
彼が私を見つめていることに気づいたのは、しばらくしてからだ。
「難しいだろう?」
彼の瞳と強く絡んだ。
二つの恥ずかしさが胸に込み上げてくる。
彼に見つめられることと、読めないことがバレていることだ。
「……はい、難しいです」
身体を縮こませ、本音を話すと、彼が少しだけ表情を緩ませて私の頭に手を置いた。
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