一つ大人に

2/22
312人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
長く入りすぎてしまった…… そのため、若干身体はふらつき、とてつもなく暑かった。 このまま素肌でいたいくらい。 でも、着なければ戻れない。 私は下着を身につけ、パジャマを着る。 シルクのパジャマは肌触り抜群である。それなのに、今はそう感じない。 胸元のボタンを二つ外してしまった。 ドライヤーも温風では暑く、冷風であてた。しかし、髪の量が多い私の髪は、なかなか乾いてくれない。 もういいかと、あとはタオル任せにした。 多い髪をサイドに持ってきて、バスタオルで挟みながら、リビングに行くと、共哉さんは珍しくソファーに座っていた。 彼が私に視線を向けた。 「あがったか」 「はい、お風呂、いただきました」 「ずいぶん赤いがのぼせたんじゃないか?」 「えぇ」 彼はソファから立ち上がり、キッチンへ足を向けた。それから、私に水の入ったコップを渡してくれたのだ。 「飲めよ」 「あ、ありがとうございます」 その優しさに感激する。 小さな優しさが、嬉しい。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!