想いの確認

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今、私は彼の運転する車の中にいる。 早起きしたが、朝食を作れず、家の側のコンビニでドリンクだけ購入した。 ギリギリまで彼とベッドの中にいたせいだ。それに急いで朝食を作れるような体力もなかった。 二度目の経験は初めてより痛まなくて、初めてより声をたくさん出してしまったような気がする。 そのせいか、今、飲んでいるアップルジュースががとても美味しく感じた。 「葉月、これ刺してくれるか?」 「は、はい」 差し出されたのは彼が購入した珈琲のパックだ。 それを受け取る際、手が触れドキドキとした。 すぐにストローを刺し、彼に渡す。 「ありがとう」 何気ないその声に、また、ドキドキした。 彼の声が朝のあの時間、私を可愛いと、言ってくれた声に重なった。 一気に頭に浮かんできてしまい恥ずかしい。 まだ身体の奥はジンジンとしている。 隣で運転する彼を直視できない。 「もう着くぞ」 一人、ドキドキしているうちに、目的地に到着した。 場所は初めて彼と食事をした和食料理屋で、 私たち姉妹が家族で食事をしたことのある場所だ。 個室もあるし、彼が馴染みの店だから話をしやすいと踏んだのだ。 車を降り店の前に立つと、ここに姉がいるという違うドキドキが襲ってきた。 彼は私の心情を察したのか、私の手を強く握った。 「俺がついてる、大丈夫だ」 さっきまでは恥ずかしくてたまらなかった声だが、すごく頼もしい声に切り替わったような感じがした。 「は、はい」 「行くぞ」 そのまま手を引かれ中へ進む。 先に歩く彼に続き、個室に入った。 そこには姉はもう来ていて、私の名を小さく呼んだ。 「葉月……」 姉のすぐ横には姉の夫だろうか、見知らぬ男性が立っていた。
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