想いの確認

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「だ、大丈夫です」 私は風邪でもないのに休めない。 それに家に一日いたのたら宮前さんにどんな顔して接していいのかわからない。 「無理するなよ、きついだろ?」 彼は私をまるで休ませたいみたいだ。 それだけ心配してくれているということだ。 「大丈夫です、共哉さん。私今日、家を出るのはゆっくりでいいので……」 「じゃあ尚更、まだこのままでいいだろう」 しまった……かもしれない。 しかし、そう思ったがもう、遅い。 「はい」 結局、頷いてしまった私だ。 「俺もゆっくり出たいな」 「え?」 「できることなら休みたいよ」 「共哉さん……」 意外な彼の言葉に、私の胸の奥が音を立てた。 なんだか、私とこうしてたいたいと、言っているみたいで自惚れてしまいそう…… 昨晩は慣れない私にたくさんの時間を要してしまったから、寝不足なはず。 きっと、それだけだとわかるのに…… あまり、期待してはいけない。 「週末だな」 「え?」 「今週の土曜はフルート、別の日に代えてもらおうか」 「え?」 「俺から言っておくから」 それは、貴重な彼の休みの日の時間を私に使ってくれるということだろうか。 彼が一人進める思考に追いつけないでいる。 ただ私は、とにかく頷いてみせた。
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