399人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
翌朝、目が覚めたのは彼の腕の中だった。
いつ共哉さんは寝たのだろうか。
姉との待ち合わせにはまだじゅうぶんに時間がある。
もう少し彼を寝かせてあげられる。
寝ている間に朝食を準備しようと、腕の中から抜け出すことを試みた。
しかし、「葉月」と、言った彼の目が開いた。
「は、はい……」
どうやら起こしてしまった様だ。
「おはよう。今何時だ?」
「おはようございます。まだ六時ですよ。共哉さんは、お仕事して疲れているでしょう?もう少し寝ていてください」
しかし彼はしっかり目を開けてしまっている。
「葉月」
こちらを見つめる彼に、朝からドキドキする。
「はい」
「抱いてもいいか?」
わざわざ抱き締めることを確認してくる彼に、朝から寝ぼけているのかもしれないと感じた。
それはもちろん嫌なはずがない。
今だって腕の中にいるのだ。
もっと強く抱き締めるということだろう。
「は、はい」
不思議に思うも頷く。
すぐに彼は笑った。
「まだ痛いかもしれないが、優しくする」
そしてさらに表情を緩めたかと思うと、彼の顔が上にきて私を見下ろした。
何かを言葉にする間もなく、朝から情熱的なキスをしかけてくる彼にされるがままだ。
唇にあったその熱は、ゆっくりと頬にずれる。
「と、共哉さん……」
自由になった唇から戸惑いをぶつけようと彼の名を呼ぶも、それは私を甘く優しく呼ぶ声に制される。
「葉月」
耳元で、首元で、胸元で……
私を甘やかすように呼ぶ彼の声が伝わる。
もしかして……
彼の尋ねた言葉の意味をようやく理解したのだが、気づいたときには、もう手遅れ。
互いに素肌になっていて、彼の熱に溶けさせられ、逆らえないほど、力が入らなくなっていた。
朝だとは思えない熱に包まれ、私は二度目の体験をすることになったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!