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せっかく家で仕事ができるよう昨晩荷物を運んだというのに、その翌日は久々に遅くなった帰りが遅くなった。
俺を迎えた葉月は、まだ食事もしておらず、共にとることにした。
彼女の手料理は今夜もすごかった。
「これ、全部お前が……?」
「はい」
多種類のおかずは、まるでデパ地下に並ぶ惣菜のよう。
驚かされる。
「大丈夫ですか?お嫌いなものが……」
「ない」
「よかった……」
どれも旨そうで、本当のところ疲れて食欲もそうなかったものの、胃に隙間ができた気がした。
「いただきます」
俺がそう言うと彼女も手を合わせ、同じものを口にした。
大きな瞳の彼女が、主人の帰りを待っていて食事も俺に合わせてくる。
「お前犬みたいだな」
「犬、ですか?」
まるで可愛い小型犬を連想させる。俺は思わず笑ってしまった。
「あぁ」
それにさらに目を見開き首を傾げるため、ますます可愛く思え緩みそうな顔の筋肉を慌てて抑えるほど。
よしよし、と言って撫でてやりたくなるのもそのせいかもしれない。
彼女は納得できてない様だったが、その顔も可愛いなんて絶対に言えない。
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