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自分は自由な学生時代を送ってきたというのに、葉月にはそれを寛容出来ないなんて、変な話だ。
それでもいい、言ってあげられない俺は心がひどく狭い。
それをわかっているから、しばらく話すことができなかった。
もうすぐマンション、というところで彼女に伝えなければならないことを思い出す。
明日、フルート講師を家に呼んだことだった。
昨晩習いたいと希望を聞き、今朝すぐに米倉に連絡をとってもらった俺は、どれだけ葉月に弱くなってるのだろう。
そのためにも休みを取っていた俺だ。
フルート講師を一緒に確認したかった。
彼女に言うと了承してくれたが、米倉も呼ぶと言うと戸惑いを見せた。
「共哉さん、私また違う日でいいです」
「なぜだ?」
「も、申し訳なくて、米倉さんに」
「あいつは大丈夫だが」
「だ、ダメですよ。明日にしなければお休みなんですよね?」
「なぜお前が米倉の心配を?あいつは俺の秘書だ」
葉月が米倉の心配をするのが面白くない。
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