増える期待は

15/20
262人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ
葉月は、洗濯物干しの使い方も知らなかった。 洗濯機が回り終え、共に干すことにした時だ。 「使い方わかるか?」 ハンガーが連なる洗濯物干しを持ち、彼女に尋ねると首を振った。 「洋服を掛けたことはあるんですが、そういうのは……同じなのか自信がないです」 俺だって自信があるとはいえないが、あまりにも正直な彼女が微笑ましくて、笑ってしまった。 「だよな、悪い」 それに彼女は少しだけ唇を尖らせた。 ふて腐れたのか、その表情が初めて見るもので可愛らしい。 それに触れたくなったのは反射だった。 「悪かった、しょげるな」 気付くと、頭を撫でていた。 「はい」 自分でも驚くほど甘い声が出た。 彼女が可愛すぎるせい。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!