独占欲と伝わる想い

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「葉月、言いたいことがあるなら言ってみろよ」 自宅に着くと彼女の腰を抱いたまま俺はリビングへと連れていき、ソファに座らせ、顔を覗く。 彼女の表情は苦しそうにも見え、俺はできるだけ優しく接しようと思った。 「あの、どうして恩地さんはわざわざここにいらしたのでしょうか…きっと恩地さんは共哉さんが……」 好きだと言いたいのはわかった。 あれだけ態度で示されれば嫌でもわかる。 「俺は華さんの事何とも思ってない。今までもこれからも」 そこだけは確実に伝えたい。葉月を好きだとは伝えられないけれど。 葉月に誤解して欲しくない。 「共哉さん」 「あの人の事で不安になる必要はない。このシャツを貸した日も、他にも大勢人がいたんだ。たまたま俺の近くで溢したから米倉が気をきかせて渡しただけだ」 忘れてたくらいのできごと。 「そうですか、ありがとうございます」 「ん?」 華さんの話をしていたのに、礼を言われて思わず聞き返してしまった。 「本当は気にしていました。ちゃんとこうしてお話をして下さって落ち着きました」 落ち着いたとはどういうことだろう。「おいで」 俺は葉月を抱き寄せる。 気にしてたということは華さんを意識しているということ。 「悪かったな、嫌な思いさせて」 俺への想いがみえてくる。 「そんな、共哉さんは悪くない。私が嫉妬しただけです」 嫉妬…… ここまで言われてしまうと、もうわかる。 「葉月」 葉月は俺の事が好きなよう。 「好き、共哉さん」 好きだと推測するのと同時、彼女から気持ちを伝えられた。
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