独占欲と伝わる想い

18/22
279人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
彼女は俺を真剣な眼差しで見つめる。 「ありがとうございました。私を引き受けて下さって」 そして、あまりに謙虚な言葉をくれた。 ありがとうだなんて、俺が似合う言葉。 「葉月、お前……」 純粋な心に俺は捕まれる。 「私を引き受けて下さったのが共哉さんでよかった」 俺だって葉月でよかった。いや、葉月がよかった。 もう、無理だった。 彼女への気持ちが抑えられなくなり、思いきり強く抱き締めてしまう。 きっと俺の気持ちも伝わっているだろうと感じたがそれでもいいと思えた。 それくらい、強く、強く。 「共哉さん、痛いです……」 俺の想いが溢れ過ぎた。 葉月の痛がる声が腕の中でする。 「すまない」 「い、いえ」 それでも離したくなく、緩めただけ。 「もっとこうしていて欲しいので」 彼女はもっととねだる。可愛くてたまらなくなる。 無自覚に俺を誘う彼女は、「お前はほんと……」、可愛いと言ってしまいそうになるくらい俺を困らせる。 だから彼女の頭上にキスをする。 「共哉さん?」 「可愛くて困るよ」 そのままを伝えた。 「そんな」 それに顔を赤くする。その顔に今度は俺が誘いをかけた。 「葉月、部屋を一緒にしようか」 「え?」 驚く彼女の顔。だが、気持ちは同じなのだから新しい形をとってもいいだろうと思えた。 「嫌か?」 「え、い、嫌では……」 「夫婦なんだからいいだろう。とりあえず今日は俺の部屋に来いよ、いいな」 「は、はい」 強引にも頷かせた。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!