独占欲と伝わる想い

2/22
279人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
初めて会社に連れてきただけあって、葉月が緊張しているのが伝わる。 「あの、本当に大丈夫ですか?」 まだ社会に出たこともないうえ、俺の妻として見られる状況は、少し可哀想なくらいに感じた。 だから彼女の背に手を回し、歩幅を合わせ自分の部屋へと連れていく。 二人きりになると、明らかに緊張がとけたようだった。 米倉が退室すると葉月に「米倉さんと仲がいいんですね」と言われた。 「あぁ、昔からの仲だからな」 「男性の秘書とは珍しいですね」 秘書が男なのは父の代からのこと。 「うちの秘書が男になったのは父の代からだ。母親がヤキモチやきでな」 「ヤキモチ?」 母親が嫉妬深い為、秘書が男に変わったと父から聞いたことがある。 聞いた時はすごい話だな、と思っていた。 「あぁ、でも今回よくわかったよ。俺も母親の血をひいてるんだって」 しかし、今の俺にはわかる。 母親には似たのは顔だけでないようだ。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!