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初めて会社に連れてきただけあって、葉月が緊張しているのが伝わる。
「あの、本当に大丈夫ですか?」
まだ社会に出たこともないうえ、俺の妻として見られる状況は、少し可哀想なくらいに感じた。
だから彼女の背に手を回し、歩幅を合わせ自分の部屋へと連れていく。
二人きりになると、明らかに緊張がとけたようだった。
米倉が退室すると葉月に「米倉さんと仲がいいんですね」と言われた。
「あぁ、昔からの仲だからな」
「男性の秘書とは珍しいですね」
秘書が男なのは父の代からのこと。
「うちの秘書が男になったのは父の代からだ。母親がヤキモチやきでな」
「ヤキモチ?」
母親が嫉妬深い為、秘書が男に変わったと父から聞いたことがある。
聞いた時はすごい話だな、と思っていた。
「あぁ、でも今回よくわかったよ。俺も母親の血をひいてるんだって」
しかし、今の俺にはわかる。
母親には似たのは顔だけでないようだ。
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