伝わる甘い熱

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葉月は恥ずかしそうに身体を縮こませた。 俺の中で丸まる。 「葉月」 拒絶されているのではという思いからくる、少しの不安。 なるべく優しく葉月を呼ぶ。 「息が出来ないだろ」 俺は包む力を緩め彼女の顔を覗いた。 「ほら」 「はい」 息が出来なくなるなんて本心から思ってたわけじゃない。 彼女の表情の確認をしたかった。 俺を見上げる葉月の表情は赤いが、拒むような感じではない。 互いの視線がぶつかる。強いものだと確信する。 俺はこのまま彼女に近付く事を許された気がした。 だから更に近付けると、葉月は受け入れるよう目を瞑った。 キス、したい…… そっと重ねた唇。 軽く優しく、ゆっくりと。 唇まで温かい彼女の甘い温度が、胸に響く。 「葉月」 どうしようもないくらい、愛しい。 もっと、欲しい。 名を呼ぶ俺に少しだけ目を開け応えた彼女は、一瞬熱い眼差しをくれ、すぐまた閉じた。 俺だけでない。 たまらなくなり、また唇を重ねる。 一度、二度、三度と。 何度と繰り返すキスに甘い熱が広がる。 それに彼女から漏れる甘い声が俺を保てなくさせて、もっと、もっとと甘い熱を求めて彼女に夢中になるのだ。
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