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「弥生は葉月を甘やかせてあげるのが上手でしたから、葉月には三年間甘えられる人がいなくなって苦しい思いをさせたかと思うんです」
何も言えないでいる俺にお義母さんがもう一度、頭を下げた。
「どうかあの子を甘やかせてあげて下さい。家を助けて下さり、じゅうぶんなほどよくして頂いているのは承知です。ですが、どうか葉月を、葉月の事を宜しくお願いします」
この時の俺はお義母さんの願いを託されたというよりも、罪悪感の方が大きくて、ただただ頷くことしかできず、お義母さんの気持ちが苦しく感じた。
しかし今は違う。
「葉月…」
「っん、ふっ……」
俺の胸で泣きじゃくる彼女がいても、苦しさなんて感じない、
寧ろ甘やかせたい、彼女の支えになりたいと思う。
そして、今は溜まった悲しみと寂しさを流し出してあげたいと思った。
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