少しでも側に

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「会長にも会わせてないしな」 会長である祖父にはまだ会わせていない。 この結婚の話を進める際、祖父だけは難色を示していた。 まだ葉月が若すぎるのと、寿の経営難の事があったからだ。 それでも婚姻を結べたのは、俺の意思が強かったからだ。 そんな祖父だが、今は父から母から葉月の人柄を聞いて理解をみせてきているらしい。 きっと彼女と会えば印象が変わるに違いない、 そう確信している。 その夜、俺は彼女をまたベッドに誘った。 「寝るぞ」 「はい。よろしくお願いします」 彼女から一緒に居て欲しいと言われたのを思い出しながら。 そんな俺に、いちいち可愛く答えるのに胸が温かくなる。 「奥いけるか?」 「はい、失礼しますね」 俺のベッドに抵抗せずゆっくり寝そべる彼女に嬉しくなる。 そんな葉月を強く腕に閉じ込めるとら彼女も俺の服を強く掴んだ。 可愛い。 彼女を欲しがる俺の身体が熱くなる。 だが、今日は彼女にとって色々あった日だ。弥生の事でいっぱいで、不安に違いない。 だから俺の欲は押し込めて、なるべく優しく伝わるよう背中を優しく叩く。 彼女が眠るまで、ずっとそうしていた。
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