少しでも側に

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「これも、食うか?」 「え、あっ……」 頼んだものはなかなかボリュームが多く、彼女は気持ちの問題もあってか全ては食べきれなかった。 それに申し訳なさそうに謝る彼女に、気にしなくていいと伝えてはまた謝られるという繰り返し。 それでもデザートが出てきた時は、顔を綻ばせた。 一枚のプレートに少しずつデザートが乗り、女が喜びそうな見た目をしていた。 彼女は口にどんどん運んでいく。 だから俺の物まで食べられるのなら、彼女にあげて喜んでもらいたかった。 「甘い物好きだろう?全て小さいから食えるんじゃないのか?」 「え、でも……共哉さんが……」 「俺はもう甘い物は食べられそうにない」 そう言うと、彼女は少しだけ笑った。 彼女と違い俺は完食していたからだ。 「そ、それなら……はい。ありがとうございます」 「あぁ、ほら」 「あっはい」 俺のプレートを彼女の方に差し出して、彼女の物と代える。 「ありがとうございます。いただきます」 「あぁ」 これで少しでも気が和らげばいい。 そう思いつつ、俺は珈琲を飲み、食べ始める彼女を観察していた。 「美味しいです」 「よかったな」 「はい」 いつもより元気のない笑みをみせる。 その表情を見て俺は彼女の側に寄り添いたくなる。 ほっておけないとはこういう感情だろうか、もっと近くで守りたくなる。 だからだろうか、食べ終えた葉月の手を強く握り、会社に戻る間ずっとそのままでいた。
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