少しでも側に

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「お仕事中なのに……」 やはり初めは戸惑いを見せる。俺は更に誘った。 「少し妻を甘やかせるくらいなんて事ない」 そう言うと、顔を歪ませて俺に抱きついてきた。 彼女自身から俺に甘えたくて飛び込んできてくれた事実に嬉しくなる。 「共哉さん……」 「ん?」 彼女が俺を呼んだ。 甘い声。 「好きです」 その二つの単語に今度は俺が驚かされた。 「葉月……」 「好き、共哉さん……」 まさか、このタイミングで、まさか俺を好きだと言ってくれるとは思わなくて、何も答えられない。 ショックで気持ちが乱されているのだろうか。 そうでないと信じたいが信じられない。 更に胸に顔を埋める彼女に、真実であってほしいと願った。 俺こそ、彼女の気持ちが嬉しく感じ、少し抱き包む力が増した。 俺も、好きだ。 だが、それこそ初めの俺の言動がちらつき、伝えられない。 それでも同じ気持ちだと強く抱けば伝わると信じて、しばらく彼女を腕の中に閉じ込め、心で俺も好きだと何度も繰り返した。
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