少しでも側に

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葉月が俺を甘えるように呼ぶ。 「共哉さん」 「なんだ」 吃驚するくらい甘い声が自分から出た。 それに彼女が更に俺に顔を寄せるから、口元が緩むが、ちょうど今の自分の顔を見られてないことにホッとする。 「姉と会うときは、共哉さんも一緒にいてくれますか?」 彼女からの願いは可愛いもの。 「あぁ側にいるよ」 一人では心細いのだろう、頼ってくれた事が嬉しい。 勿論、一緒に居るつもりではいた。 「連絡が着たらすぐ知らせる」 「はい、お願いします」 「あぁ」 きっと、連絡はくるだろう。 弥生は俺の事が気になって仕方がないはずだ。 無理矢理な結婚だと理解しているだろうから。 今の俺なら、互いの気持ちが通じているとわかっているだけに、後ろめたさは少なく面会できるような気もする。 「共哉さん、ありがとうございました、もう平気です。お仕事に戻って下さい」 一人そう考え巡らせていると、彼女からの言葉にハッとした。 「あぁ」 距離を取ると、温もりが消え寂しさを感じたが仕方がない。 「お仕事邪魔してすみませんでした」 「いや、いいよ」 申し訳なさそうに謝罪される。 気にして欲しくなく、なるべく優しい笑みを見せ頭を撫でると、恥ずかしいのか目を逸らされた。 そんな葉月が可愛くて困らせたくて、わざと耳元で囁くのだ。 「帰ったらまた甘やかしてやるよ」
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